ビジネス法務

時流を読む力が戦略法務の武器となる

新聞の記事タイトルから何をつかむ?

「アバターがお客様」?「メタバース 消費入り口」?

久しぶりにオフィスへ向かう電車の中で新聞を斜め読みしている中で「アバターがお客様」、「メタバース 消費入り口」(2022年1月26日付の日本経済新聞(朝刊))という記事タイトルに目が留まった。

勉強不足の私はいまだに「メタバース」というフレーズとその意味がピンときていないというのが正直なところだ。この機会に今一度確認してみると、メタバースとは、どうやら仮想空間のことをいうらしい。

では、アバターとは何か?これはアニメ好きでありゲーム好きでもある私であるから、さすがに分かる。アニメ「ソードアートオンライン」とかは仮想空間にアバターとしてダイブして、、、と本題とはずれそうなのでここまでとする。

とにかく、アバターとは仮想空間に自分の分身として作成するもののことだと理解はしている。

この記事から何を読み取るのか

そうはいっても、普通になんとなく新聞に目を通しているだけだと、「へ~、そうなんだ。」で終わるか、さらっと見過ごすか、といったことになりそうだが、法務も企業経営に参画していくんだ、という気概と意識を高くもっていれば、自分が所属する企業にどんなビジネスチャンスがあるのか、それをものにするために、法務として事前に何をケアすればよいのか、何をすべきか、といったことを常に意識し情報に触れることを繰り返すことでこういったことが習慣化してくると思う。

そうなるとしめたもので、単なる契約相談相手としか見られていなかった法務から大きく前進し飛躍していけるように思う。

単に契約作成・審査だけに没頭している予防法務の領域から一歩抜け出し戦略法務という法務機能が一つ増えることになってくれば、経営戦略の一角を担える法務部門として、その企業の成長戦略にも必ず重要な役割を果たしていくことになると思う。

具体的に記事のどこを見るのか?

そうはいっても、記事の何を見て、どこをどう考えたのかお察しいただけただろうとは思うが、一応整理しておくことにする。

まずは冒頭に触れた「アバターがお客様」、「メタバース 消費入り口」、「20秒で分身作成、仮想試着」という3つのタイトルフレーズだ。

これらのフレーズから、仮想空間が消費者の行動を開始する入口となり、その消費者個人のアバターがお客様そのものとして仮想空間で試着を行う時代がくる、というようなことなんだろうな、と連想しイメージすることになる。アバターであれば、現実社会よりもはるかに容易に試着が何通りもでき、さらに消費行動につなげやすいといもいえそうだ。

そういった意味では、法務のスキル・力として、連想する力を鍛えるということも大事なのだと思うし、連想力を鍛えることは法務力向上に不可欠な要素の一つといってもよいのだと思うところだ。

次に、「100兆円市場を動かす鍵」、「体形など個人情報の扱い課題」というフレーズだ。

「100兆円市場を動かす鍵」のタイトルから、「アバター」が100兆円市場として見込まれるメタバース市場に不可欠な役割を果たすもの(重要な鍵)となってくるであろうと予測されていることが読み取ることができ、「体形など個人情報の扱い課題」のタイトルから、今後、「アバター」の取扱いも個人情報として何らかのルール化がなされるであろうと推測することが可能だろう。

ということは、今後の個人情報保護法の動向や同法周辺のルール化の動きを注視していくことが必要だ。

次に、法務が法令改正・ルール策定の状況をキャッチ・先読みし、それをクリアできるようなビジネス設計を早期に事業側に提案していくことで、他社に先駆け新たなビジネスを展開していくことができ、先行者利益を享受し得るのではないかと考える。

このような戦略法務機能を強化していく動きはこれからの法務部門に必要だと考えるし、事業部門からも強く求められる時代になりつつあると肌で感じているところだ。

なお、法務として理解しておきたい情報も記事の中に発見したので今後の企業法務の一担当としてメモも兼ねて以下に記録として残しておこう。

「サイト利用状況の補足に使えるクッキーの利用制限が広がるなか、「アバターデータはポストクッキー時代の新しい個人情報
の一つになりえる」(博報堂の尾崎氏)。
将来は、購買履歴や身体情報がアバターにひも付いていくことも予測される。取り扱いのルール作りが必須だ。」

(2022年1月26日 日本経済新聞 朝刊)

つまり、今後はクッキーと同様のルールが適用され得るということを想定しビジネス設計を事業側に推進・提案し、早い段階からそれを前提に業務手順やルールを整備しておいた方が、将来、対応せざるを得なくなって動きだすことにより発生する負担(工数面、費用面、など)よりもはるかに負担を抑制し得るものになるだろうと考えることができると考えるところである。

 

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