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平野歩夢(あゆむ)の北京オリンピック逆転劇にみるかっこよさ

2022年2月11日

(写真はイメージです。本人写真ではありませんのでご注意ください。)

最高難度の滑りを見事にかっこよくスマートに決めた名シーン

北京2022年オリンピックが開催され、スキージャンプ団体での大量失格問題や女子スノーボードでの不可解なジャッジの問題など、ごたごたが目立ちスッキリしないことが多い今大会だが、日本の平野歩夢選手がスノーボード男子ハーフパイプで、とてもスッキリする大逆転劇を演じ、見事に金メダルを獲得してくれました。

個人的には平野歩夢選手のメンタルの強さにつくづく感心しあらためてとても凄い選手なんだなとうれしく思っているところです。

是非、平野歩夢選手の素晴らしい技の数々をご覧いただき心地よい気持ちになっていただけるといいなと思いますし、気分転換にご覧いただきコーヒーブレイクのお供とするのもよいのではないかと思います。ぜひ、こちらの動画をご覧ください。

 

試合展開を振り返る

2022年2月11日、北京のスノーボードハーフパイプ会場の天候は晴れ、テレビ画面上はきれいな青空が広がる見事な快晴です。風もさほどなく、コンディションとしては良好のように見えます。
平野歩夢選手は、予選をトップ通過し、順当に決勝進出を果たします。決勝は、12人が進出し、平野歩夢選手はその最終滑走者となります。結果だけをみてしまうと、さすが平野歩夢選手だよね、やっぱり平野歩夢選手が金だよね、と当然の結果といわんばかりのコメントとなるのでしょう。しかし、 LIVEで平野歩夢選手を応援しご覧になっていた多くの人は間違いなく手に汗にぎりドキドキしながら応援していたに違いないでしょう。なぜなら、そういうドラマがあったのですから。それでは、試合の流れを振り返っていこうと思います。

1回目のルーティン

ポイント33.75ポイント
順位9位
平野歩夢選手の気持ち(感情)ちょっとイライラ

1回目は、3つめのトリックまでは素晴らしいトリックを見事に成功させることができたのですが、最後4つめのトリックが着地に失敗し、低いポイントとなってしまいます。1発目のトリックから最高難度の「トリプルコーク1440」にチャレンジし見事に成功させることができたのですが、う~ん、惜しくも、、、という感じです。

2回目のルーティン

ポイント91.75ポイント
順位2位
平野歩夢選手の気持ち(感情)怒り

2回目のルーティンでも1発目のトリックで最高難度の「トリプルコーク1440」を見事に成功させ、4つのトリックのすべてを完成度高くやり遂げます。日本国内はもちろん、世界中の観戦者の多くが高得点を確信し、その時点の1位のポイントを上回り逆転するものだと思っていたところ、表示されたポイントは、なんと驚きの ”91.75ポイント” と想定外の低いポイントで衝撃を受けることになります。
その後の、世界各国の観戦者やメディアの方からも、点数が低いことについて異論の声がたくさん挙がっており、また、平野歩夢選手の試合後のコメントからもこの採点の結果について怒りを感じたと述べていることから、感覚的にはみなさん同じだったのだということができそうです。

3回目のルーティン

ポイント96.0ポイント
順位1位
平野歩夢選手の気持ち(感情)こちらは私の想像(やったぜ! どうだ! 嬉しい!)

2回目の結果を受け、平野歩夢選手の順位は2位(銀メダル)のままです。平野歩夢選手が3回目のルーティンに入る順番がきた時点で2位に位置しており、銀メダルの獲得は確実です。新技投入もささやかれる中、平野歩夢選手のルーティン選択に関心が寄せられます。なぜなら、最高難度の「トリプルコーク1440」を組み込んだ2回目のルーティンをしっかりと成功させてもあの得点しかもらえないのであれば、戦略的には新技投入しかないように考えてしまうのが自然な流れのように思います。しかし、新技も間違いなく最高難度の「トリプルコーク1440」と遜色がないくらいに難しくリスクのあるトリックであることから、さらにリスクの高いルーティンを選択するのか、それとも、2回目のルーティンに対するジャッジに不満をもっていたことを平野歩夢選手が後に話していることから、2回目のルーティンですべてのトリックをより完璧に演技することで、逆転勝利、金メダルは獲得はできると考えるのかの二択であったと思うのですが、後者の選択をし、より集中力を高めすべてのトリックを完璧にやり遂げ、大成功へ結びつけます。

私からは、まるで「審査員よ、しっかりと目を見開いて見てください!そして、正当なジャッジをしてください!これがゴールドメダリストとなるべき者のトリックだ!」といわんばかりの思いが伝わってきました。

 

平野歩夢選手のメンタルの強さをみる

これまでご覧いただいたとおり、1回めのルーティンで9位、2回めのルーティンで2位となり、オリンピック2大会連続「銀」メダルの平野歩夢選手にとって、「金」メダル獲得は最大の目標であったはずです。そんな彼にとって、3回目のルーティンを迎える状況として、もう後がないという状況にありました。しかも、2回目のルーティンは、誰もが1位にたつであろうポイントを叩き出したと確信するものだったはずが、ふたを開けてみると予想外の低評価ということで普通の人であれば、こんなにも最高のルーティン・トリックを披露し成功させたにもかかわらず、こんな得点しかもらえないのであれば、「もう勝機はない」、と心が折れ、ネガティブな気持ちに陥りそうなところです。

しかし、平野歩夢選手はそうはならなかったのです。彼のすごいところは、こんな得点であるはずがない、ならば2回目の技をさらに洗練させより完成度を上げてやろう、そういうランを披露し成功させることができれば確実に「金」メダルを獲れるのだと確信し、怒りの気持ちをうまくプラスの方へ転換させ集中力を高めるエネルギーにつなげ、見事に完璧なトリックを連続して成功させ、世界中の人々の心をつかむスーパーランを成し得たのです。実に8年越しの「金」メダル獲得につなげたのです。本当に強靭なメンタルに脱帽です。

まるで「007」のジェームス・ボンドや「ルパン三世」のようにいかなる危機が差し迫ろうとも平然と落ち着いて時にはジョークまで発しながらそのピンチを乗り越えていくヒーローのようで、平野歩夢選手、あなた、かっこよすぎです。

印象に残った選手

ここでは、平野歩夢選手以外にも印象に残った選手に触れておきたいと思います。

ショーン・ホワイト(アメリカ)

彼の存在がなければ、現在のスノーボードハーフパイプの発展、人気、そしてオリンピック競技採用ということはなかったのかもしれない、とまでいえるくらいに偉大な功績を残した人物です。彼の残した偉大な功績は周知のとおり素晴らしいものですが、今大会の最終ランが後半のトリックで失敗し完璧に終えることができないままオリンピックの舞台から引退してしまうことになります。

それでも、彼がヘルメットを脱いで観衆の皆さんに、うっすらと涙を浮かべながら挨拶をする姿、そしてそんな彼に惜しみなく贈られる賞賛の声、声援、拍手が彼の偉大な功績と多くの人に愛された人柄、人格者であることを表すものだと思うのです。

特に、平野歩夢選手の金メダルをはじめ他二人のメダル獲得が確定した直後に、祝福のために駆けつけるあたりは、とても感動的なものがあり、また、まるで若い世代に、これからのスノーボードハーフパイプ界を頼んだよ、とバトンを渡したようにも感じられ、私の胸がとても熱くなったことを覚えています。

そう、ショーン・ホワイト、あなたはいつまでもスノーボードハーフパイプの先駆者でありレジェンドとしてこれからも長きに渡り語り継がれるべき人物なのです。

平野 海祝(かいしゅう)

そう!、平野歩夢選手の弟です。結果は、9位と惜しくむ入賞に一歩届かずという結果に終わりました。
個人的には兄弟そろって表彰台に立って欲しかったのですけれど、これからの楽しみとしてとっておきたいと思います。

1回目のルーティン終了時点では3位につけ、メダル獲得、入賞といったことが期待されるところでしたが、2回目、3回目と積極的に攻めていったものの、残念ながらいずれも途中で失敗してしまい、2回目、3回目ともに最後までトリックを披露しきることなく終わってしまいました。

しかし、彼の最大の持ち味であるトリックの高さ、特にバックサイドエアの高さは他の選手とは異次元なものがあり目を見張るものがありました。気持ちよさそうな浮遊感が見ているこちらにも伝わってくるくらいに感じられ、とても爽快なものがありました。

これに加えて、試合後のインタビューで「小さいころから”兄ちゃん”の努力をしていることを見てきた」とか「”兄ちゃん”に金をとってもらってよかった」と歩夢選手のことを「兄ちゃん、兄ちゃん」と呼んでいるところが歩夢選手の存在を兄としても選手としても尊敬し仲良くしている感じが十分に感じることができ、とてもほっこりとさせてくれるインタビューがうれしく、そして、温かい気持ちにさせてくれるもので、一気に海祝くんのファンになってしまいました。

ぜひ、次のオリンピックへ向け、お互いライバルとして切磋琢磨しつつも兄弟愛で支え合い、兄弟そろってメダル獲得を目指して頑張って欲しいと強く願っています。

 

結果速報(NHKニュースサイト)

正確な北京2022年オリンピック大会の男子スノーボードハーフパイプの結果情報はこちらからご確認ください。

 

裏話情報

今回のコースについて

今回のコース全長は220メートルです。これは、通常より50メートルほど長いコース設定となっているとのことです。
なぜ、通常よりも長めのコース設定となったのかについて、体の軸を斜めに縦3回転、横4回転する最高難度の「トリプルコーク1440」にチャレンジできるようにしておくためにこの長さが必要であろうと設定されたものだとコース設計者が解説しています。

まさに、平野歩夢選手のために作られたようなものですね。

(2022/2/12)

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