契約書

秘密保持契約書とは

2020年5月29日

秘密保持契約書(NDA)とは何でしょう?

秘密保持契約(通称「NDA」といわれています。英語表記の「Non Disclosure Agreement」の頭文字から略称化された名称)とは、

本来、取引を開始する際や取引の過程でやりとりする大事な情報を漏洩されたり、第三者に開示・提供されたり、または盗み取られることがないように情報を適切に管理し保持することを約束していただくための契約です。

しかし、実際のビジネスシーンに目を向けますと、意外に重要な情報を開示する予定がなく秘密保持契約を取り交わす必要がない場合であっても、秘密保持契約の締結・取り交わしが取引の前提条件として要求される場面は数多くあるように思います。

まさに、名刺交換代わりに秘密保持契約を取り交わすといった印象です。

ちょっと、本来の目的としての契約締結ではありませんが、このような使い方って現実には、往々にしてあるわけです。

秘密保持契約書(NDA)には使い分けが必要です。

秘密保持契約書の雛形が必要になり訪ねてくる方で以外と多いやりとりとして次のようなものがあります。

営業マン:ねえねえ、秘密保持契約の雛形あるよね?

法務くん:もちろん、ありますよ。

営業マン:じゃあ、先方に雛形を提示する予定があるからメールで送っといて。

法務くん:いやいや、秘密保持契約の雛形を欲しいといわれても、当社の立場を聞かせてもらわないとどの雛形を渡せばいいのか分からないですよ。

営業マン:秘密保持契約だよ、秘密保持、NDAが欲しいんですけど。

法務くん:秘密保持契約にも大きく2つのパターンがあり、もう少し正しくいうと3つの雛形を使い分けてるのですよ。

営業マン:え~っ、秘密保持契約って一つじゃないの?どういうことなの?

 

こんなやりとり以外とあるんです。教育しているつもりが浸透していないですね。教育のやり方が悪いといえばそれまでなのですが、、、

では、秘密保持契約にはどんなパターンがあるの確認していきましょう。

秘密保持契約にはどんなパターンがあるのでしょう?

大きくパターン分けすると2つのパターンがあります。

パターン1:双方向タイプ(双務型)

パターン2:一方向タイプ(片務型)

さらに、一方向タイプ(片務型)が2つに分類されることになります。

あなたの会社を「鬼殺隊株式会社」としましょう。取引相手を「十二鬼月株式会社」とします。

パターン1:  「鬼殺隊株式会社」⇔「十二鬼月株式会社」

お互いに自分の情報を開示もするし、相手の情報も開示を受ける

パターン2-1:「鬼殺隊株式会社」→「十二鬼月株式会社」

自分の情報を相手に開示するのみ

パターン2-2:「鬼殺隊株式会社」←「十二鬼月株式会社」

相手から情報の開示を受けるのみ

秘密保持契約の雛形を複数用意し使い分けるのはなぜか?

自分の立場を正しく理解し、自分が負う責任(債務)をコントロールしておく必要があるからです。

それでは、それぞれのパターンについて考え方をお話していきます。

パターン・1 双方開示型

こちらは、お互いに秘密情報を開示するとともに、相手からの秘密情報を受領するということで、自社が開示する秘密情報を適切に管理し取り扱ってもらえるように守秘義務を課ししっかりと履行してもらおうとする反面、相手からも相手が自社に開示する秘密情報を適切に管理し取り扱うよう同じ義務を負うこととなります。

自社の情報を留出・漏洩させることがないように厳しい義務と責任を課しておきたいところですが、行き過ぎてしまうと、相手も同じように自社に対して、厳しい義務と責任を要求されることになってしまいます。

こちらのパターンの場合、双方の契約の公平性と妥当な線での責任負担となるようバランスを考慮しながら契約調整を図ることになろうかと思います。

パターン・2 一方開示型(片務型) ― 自社だけが情報を開示する場合 ―

こちらのパターンであれば、守秘義務を負う当事者は相手方だけになりますから、自社の秘密情報をしっかりと管理・保持いただき漏洩・流出させることがないように、また、秘密保持契約による牽制を強めておくことで、相手方の情報管理に対する責任を自覚していただけうようにしておきたいところです。

ただし、あまりに厳しい内容にしてしまった場合で、将来的にその相手から逆に秘密情報の開示を受けるようなビジネスシーンが訪れた場合、先方のリーガル部門がしっかりとしていますと過去の契約を調べ、同じようなレベルの義務を課してくることがあり得ますので、ゆきすぎには注意しておいた方がよさそうです。

パターン・3 一方開示型(片務型) ― 相手だけが情報を開示する場合 ―

こちらのパターンは、自社だけが秘密情報の開示・提供を受け、守秘義務を負うことになりますから、いかに自社の責任負担を緩和できるかという視点で契約内容を調整しておきたいところとなります。

 

以上、3つのパターン別に契約の審査、調整を行ううえで意識しておくべき考え方を述べてきました。

実際に契約書の条文例で解説することも考えていきたいと思います。

こちらについては、「経産省の秘密情報の保護ハンドブックから秘密保持契約書を学ぶ」の方で整理してみましたのでご興味のある方は覗いてみていただければ幸いです。

 

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