契約書 契約用語

契約用語集 ~契約で使う用語・用法を学ぶ~

2020年6月2日

契約用語とその用法を学ぶ

契約書を読み慣れない人にとっては、契約文書特有の言い回しや分かりづらい用語が多く、ついつい敬遠したくなるものです。

それは分かります。しかし、ビジネスをするうえで契約行為は避けては通れないことですし、仕事をお任せいただくこと、仕事を獲得できたことの証が契約なのですから、その契約内容をきちんと理解し契約内容に従い適切にビジネスを進めるうえで、契約文書を読み理解することは絶対に必要なスキルとなるはずです。

そこで、契約文書特有の用語で特におさえておくとよいと思われる代表的な用語を集め、ここに整理していきたいと思います。

契約用語をある程度理解してしまえば、契約書を読むのはそれほど難しいものでなく、苦ではなくなるはずです。

あわせて、法務担当者の方であれば、正しい用法も知っておく必要があるはずです。

なぜなら、間違った使い方をしていると契約書について交渉している段階で、相手方の法務担当者から「ああ、向こうの法務担当者はあまり法務スキルを持ち合わせていない人なのかな?」とか「法務部門でない人が審査しているのかな?」と一歩格下の担当者が相手かとなめられてしまうことにつながってしまいます。こうなると、こちらの主張も通し辛くなりかねず、こんなところで優位性を失ってはいけませんよね。

是非、法務担当者であれば、都度、用法の間違いがないか確認して契約審査・契約作成に取り組む大事なところだと思います。

偉そうなことをいいながら、最近は、私も物忘れが多くなったようで、ちょいちょい間違っていないか、確認する機会が増えております。(笑)

とにかく、契約書でミスは致命的ですから、しっかり、正しく書けるための基礎の基礎ですね。

契約用語集

「および(及び)」と「ならびに(並びに)」

【用法】どちらの用語も併合的に言葉をつなぐ際に用います。

(使用例)

ーおよびー

① 柏餅と塩豆大福を買う。 -> 柏餅および塩豆大福を購入するものとする。

② 柏餅と塩豆大福と苺大福を活。 -> 柏餅、塩豆大福および苺大福を購入するものとする。

ーならびにー

① 柏餅と塩豆大福とショートケーキを買う。 -> 柏餅および塩豆大福ならびにショートケーキを購入するものとする。

②柏餅と塩豆大福と苺大福とショートケーキを買う。 -> 柏餅、塩豆大福および苺大福ならびにショートケーキを購入するものとする。

ワンポイント:大きい分岐の方に「ならびに」を使い、小さい分岐の方に「および」を使います。なお、上の使用例では、和菓子のグループを小さい分岐、和菓子と洋菓子の二つのグループを大きい分岐として使っています。

「または(又は)」と「もしくは(若しくは)」

【用法】どちらの用語も並列で選択的に次の用語をつなぐ際に用いられます。

(使用例)

ーまたはー

① 柏餅か塩豆大福を買う。 -> 柏餅または塩豆大福を購入するものとする。

② 柏餅か塩豆大福か苺大福を買う。 -> 柏餅、塩豆大福または苺大福を購入するものとする。

ーもしくはー

① 柏餅か塩豆大福かショートケーキを買う。 -> 柏餅もしくは塩豆大福またはショートケーキを購入するものとする。

② 柏餅か塩豆大福か苺大福かショートケーキを買う。 -> 柏餅、塩豆大福もしくは苺大福またはショートケーキを購入するものとする。

ワンポイント:大きい分岐の方に「または」を使い、小さい分岐に「もしくは」を使います。なお、上の使用例では、和菓子のグループを小さい分岐、和菓子と洋菓子の二つのグループを大きい分岐として使っています。

「乃至(ないし)」

この用語は、契約書作成を業務としていない方にとっては、なんとなく「または」といったニュアンスで解釈されている方が多いのではないだろうか?

実は、有斐閣の法律用語辞典では次のように解説されています。

連続する一連の数量、種類等を示す場合、上下、前後の限界を挙げ、中間を省略するのに使う。法文中に、三以上の連続する条項名を表示する場合には、その始めのものと終わりのものとを「乃至」で結び付けてその全部を表示する。

最近の法文では、このような場合には「何々から何々まで」という表現を用い、この語は使わない。

(使用例)

基本契約の第1条、第2条、第3条、第4条、第5条、第6条、第7条、第8条、第9条および第10条の定めをこの覚書に適用する。

=> 基本契約第1条 乃至 第10条の定めをこの覚書に適用する。

法律用語辞典を久しぶりに開いて「あれっそうだったの!」となりましのが、”最近の法文では「乃至」は使わない”と記されていたことです。

法律文書・契約文書に慣れ親しんでいる者にとっては、いまだ文献等で未だ目にしていることからちょっと驚きと発見でした。

現代の用法としては、次のようになるということですね。

(現代の使用例)

基本契約第1条から第10条までの定めをこの覚書に適用する。

という感じですね。

「以上」・「超える」・「超」

【用法】「以上」は、指し示す数値を含み指し示した数値より大きい数値をいう場合に用います。

これに対して、「超える」と「超」は、指し示す数値を含まず、指し示した数値よりも大きい数値を指す場合に用います。

(具体例)

「100万円以上」といえば、100万円を含みこれより大きい金額のことをいいます。

逆にいうならば、0円から99万9千999円までの金額は含まれないということになります。

「100万円を超える」・「100万円超」といえば、100万円より大きい金額で、「100万円」は含まれません。

「以下」・「未満」

【用法】「以下」は、指し示す数値を含み指し示した数値より小さい数値をいう場合に用います。

これに対して、「未満」は、指し示す数値を含まず、指し示した数値よりも小さい数値を指す場合に用います。

(具体例)

「100万円以下」といえば、100万円を含みこれより小さい金額のことをいいます。

「100万円未満」といえば、0円から99万9千999円ということになります。

「場合」・「とき」・「時」

【用法】「場合」と「とき」は、いずれも仮定条件または既に規定された事例を指し示す用語として使います。

この用語の使い分け方は、大小2つの仮定条件、前提条件が重なっているときは、大きな方に「場合」を用い、小さな方に「とき」を使うのが通例となっています。

「時(とき)」は、漢字でこの用語を使うのは、時間や時点を表す場合に用いられます。この用語は、時期や時刻についていいたい場面で用いられます。

(使用例)

「柏餅を購入した場合、ダイエットのための体操を必ずおこなうこととします。」

「柏餅を購入したとき、ダイエットのための体操を必ずおこなうものとします。」

「柏餅を食べた時、差し歯がとれてしまいます。」

 

「推定する」・「みなす(見做す/看做す」

【用法】

ー推定するー

ある事実または法律関係について、当事者間に別段の定めがないか、当事者が反対の証明をしない場合に、法律の規定が定めたとおりの状態として取り扱うことであり、当事者は別段の約定または反対の証拠により証明をして法の規定の適用を排除することができます。

ーみなす(見做す/看做す)ー

当該事実または法律関係について、法の規定で定めたとおりの状態が存在するものとして取り扱い、当事者は別段の定めや反対の証明によっても、これを覆すことはできないものとすること(これを「擬制」とよんでいる)をいいます。

「直ちに(ただちに)」・「速やかに(すみやかに)」・「遅滞なく(ちたいなく)」

いずれも時間的な即時性を表す用語です。

時間的な急迫の程度が強いものから並べると次のようになります。

「直ちに(ただちに)」>「速やかに(すみやかに)」>「遅滞なく(ちたいなく)」

それぞの即時性を調べてみると以下のとおりとなります。

【直ちに(ただちに)】

時間的即時性を強く表す場合に用いられる語。「遅滞なく」に比べて、一切の遅延が許されず、また、「速やかに」に比し急迫の程度が高いものとして用いられることが多い。

【速やかに(すみやかに)】

同じく時間的近接性を示す「直ちに」、「遅滞なく」に比し中程度の近接性を求めるもので、「できるだけ」、「できる限り」などを付けて又はそのままで訓示的な意味で用いられる。

【遅滞なく(ちたいなく)】

時間的即時性を強く表す場合に用いられる語であるが、「直ちに」とは異なり、正当な又は合理的な理由による遅滞は許容されるものと解されている。

(有斐閣「法律用語辞典」第2版 より)

とにかく即時性の高い順番は、「タ・ス・チ」と覚えましょう。「タ(直ちに)」、「ス(速やかに)」、「チ(遅滞なく)」です。

「期限」と「期日」

いずれの用語も“いつ”または“いつまでに”を表す用語となります。

「期日」が特定の時点(日)をいうのに対し、「期限」は終期となる一定の日時までといった意味となります。

「以後」と「以降」

ある時点(時間的なもの)から後ろの時間的なものを指すときに用いられる用語だと理解しています。

より正しく理解しておくうえでも専門辞書を用いて確認をしてみると以下のように説明されています。

【以後】

(多く時などを表す語に付いて)その時点を含み、その後における時間的間隔又は連続を表すために用いられる。「後(ご)」と異なり、基準となる時点を含む。

【以降】

基準となる一定の日時から起算して、その後の時間的間隔又は連続を表す。「以後」と同義だが、「その翌年の4月以降の当該年金」のように、ある時点以後定期的に反復、継続して行われる事柄について用いられる場合が多い。」

(有斐閣「法律用語辞典」第2版 より)

上記に基づき使用例を挙げると次のようになってきます。

〇 基本契約第5条に定める売買取引に係る単価表は、2021年12月1日以後、本覚書別紙の単価表が適用されることに合意する。

〇 甲乙締結の基本契約は、2021年12月1日以降、当該基本契約第〇条の有効期間の特約である自動更新規定を排除し、毎回、契約満了日の3か月前に双方の契約継続の意思確認を図ったうえで契約更新の可否を決定する。

 

-契約書, 契約用語

© 2024 (契約まなび)契約書を通して法律を学ぶ